2019 04/02

だらしない夫じゃなくて依存症でした あとがき

厚労省依存症対策推進室・複数の専門家の方が監修の
依存症啓発漫画「だらしない夫じゃなくて依存症でした」が無事完結しました。

いやー…終わってよかった。

「3月頭に納品は無理です」→「半ばまで延長」→「やっぱり無理でした」
→年度を超えての納品になってしまいました。
正直終わるとは思ってなかったので、本当に良かった。

せっかくですので、少し制作の小話でも。

当初、週間連載・1回10p前後・10回連載に加え、依存症3種のお話の予定でした。
ストーリー漫画にしてほしいと言われたけど、このボリュームで3人のストーリーと作るのは無理。そう考え、「都合のいい妖精が、延々とユリちゃんに依存症について教える」漫画になるはずでした。

これは「もっと医者とか出してリアルにして」とボツに。
「主人公のユリちゃん=依存症と関係のない人間(=読者)に、医者が延々と依存症を教えるなんてシュールすぎる。どんなシチュエーションでやればいいものか…」と頭を抱えたのも、今となってはいい思い出です。

結局、担当者さんが今の元になる設定を提案してくれて、
今の「だらしない夫じゃなくて依存症でした」に。いなかったらどうなってたんだろう(笑)

それでも本来は、第一話のノリをずっと続ける予定でした。
しかし 「1~3話のノリを続けると飽きるかな?」と第4話でシリアス投入。
5話以降「あんなことがあったのに、1話のノリに戻れるわけがない…」
と、自分でツッコんだあたりからおかしくなったのでしょう。
漫画としての整合性取るのに必死になって、最終的に週刊連載で25p前後にの掲載になりました。

連載終了後、担当者さんに
「知識あり、啓発あり、感動あり、すごいバランスですよね!?
こんなにすごい漫画になるなんて思っていませんでした!」

とコメントいただきましたが、私もこんな漫画になるとは思ってませんでした。

とはいえ、妖精バージョンだったらこれはできなかったので、結果オーライ。
(でも妖精バージョンだったら納期は延びなくて良かったと思うw)

***

とにかく、
どんどん話が暗くなっても、年度が超えても許可してくれた厚労省の皆様、
監修してくださった専門家の皆様、
調整してくださった時事通信社様、
そして最初から最後まで私を褒めて励まし、
忙しい中プロットの感想をこまめに送ってくれたりなどで、士気を保ってくれていた担当者様。
本当に皆様ありがとうございました。


担当者さん。
武田先輩いなかったら、ショウちゃんがヤバかったのと同じで、
この方がいなかったら途中で連載終了していたと思います(笑)

納品前は悲鳴をあげて「もう嫌だ!二度と漫画なんて描きたくない!」と叫んでいるのに、納品が終わると産みの苦しみを忘れる私の性分のせいで、誰も強要してないのにどんどんページ数は増えるわ、話はコロコロ変わるわ、多くの方に負担をかけたかと思います。申し訳ありませんでした。

そして連載中にコメント・ いいねやリツイートをくださった皆様(主にツイッター)、ありがとうございました。
特に早い段階からこまめに送ってくださった方(心の中で勝手に常連さんと呼んでる)、本当にありがとうございました。お返事できなくてすみません。

「この漫画を読んで救われました」「泣きました」
「医療機関や自助グループに相談に行く決意ができました」
「旦那が節酒し始めました(笑)」

など、たくさんの感想をいただけたこと、制作者として本当に嬉しく思います。

悲鳴のツイートをしながら作業してても
「HUNTER×HUNTER(下書き掲載)の状態でもいいです」
「遅れてもいいです」「お金も出します」と言われたときは泣きました。
ツイッターは荒廃と暴力と炎上のだと思ってたのに、ネット版自助グループのように優しい。富樫先生も仕事しなくなるわけだよ。

 

***

このように多くの人に支えられつつ、まあまあ上手くいったのかなーと思います。

ただ、 連載中に増えたツイッターのフォロワーさん(合計3000人以上の) プロフィール欄が
「アルコール・ギャンブル依存症」「家族が依存症」
「断酒中です」「その他マイノリティで生きづらい」

と書かれてる方ばかりで、「依存症を知らない人に正しい知識を伝える」この企画自体が上手くいったのかはわかりません(笑)

心の穴?はあ?(笑)って方はこの漫画読めましたか?
「依存症じゃないけど泣けた」という感想をいただきましたので、読めないことはないと信じたいのですが…。ちょっと不安。

***

最後に、いただいた質問にいくつかお答えしておきます。

Q:こんな素敵な上司いないです

それをこれから増やすための漫画です!(笑)
でも9話のカミングアウト以外は、実体験をもとに構成してます。
(上司が保健所行ったり、病院紹介してくれたり。自助グループのための予定の調整とか)

 

Q:最後、綺麗に終わりすぎじゃないですか?

厚労省の啓発漫画で嫌な終わり方するのはヤバくないですか?
見てみたいけど。話題になるけど(笑)

…そう言いつつ、家族会の取材に行ったら、凄惨な話ばかりで開始15分で持っていかれました。
一流の表現者でもこんなに人の心を打つ言葉は出ないな、ってぐらい。
持っていかれすぎて「この漫画を明るく終わらせるのは、無理なのでは」と。

その中でも、「当時は本当に地獄だったけど今は幸せです。」としっかりお話しされてる方がいたから、描けたあの終わりです。
実際、制作中は依存症の実態の重さや、キャラに感情移入しすぎてメンタルを削られてたので、あの話が聞けてなかったら、この終わりにはならなかったでしょうね~

あとは身近に知識のある人(先輩とマユ)がいたから早期発見・早期治療ができた。という話なので。
じゃなきゃショウちゃん失禁と内臓疾患までいってたから。それで許して。

 

Q:書籍化しないんですか?

本格的にするかもしれない空気が漂っています。
が、現段階でどうなるかわからないので、しばしお待ちを。
厚労省から出なくても、著作権は私が持ってるので、需要があるならクラウドファンディングでしようかなと考え中。

とはいえ、ちゃんとした実用書としては厚労省・監修の方の名前が欲しいところ。
話が出てるようなのでお返事待ち。もし決まったらまたご連絡します。
来年の3月までは時事通信社さんのWEBで無料公開してますので、そちらで楽しんでいただければ。

 

Q:お金払いたいです

ありがとうございます!
noteを作ったので、投げ銭?とかしてもらえれば生活費や資料代の足しにします。

 

***

以上です。

今後、できてしまったセルフ二次創作を、 適当にnoteで公開などするかもしれませんし(私が描きたいだけ)冊子になるかもしれません。
が、ひとまず終了です。ご愛読ありがとうございました!

病み続けた10年が活かされる仕事でよかった。

読者の皆様と、生きづらさを抱える全ての人に幸福を!

   

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